エンダウメント投資戦略

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GCIチーフ為替ストラテジスト・岩重 竜宏による「テクニカル分析による為替長期予想(2018年2月5日基準)」

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1.はじめに
直近、過去一年間のドル円相場のレンジは、107円32銭 ~ 115円51銭という僅か8円の狭いレンジ内に収まりましたが、それがトランプラリーに起因していたという事は、テクニカル分析の見地からも明白かと思われます。


すなわち、トランプラリーによって月足のチャート(6頁)は過去三十年の歴史において、極めてユニークな形状となりましたが、そうした異例な値動きがその後の長期的な調整局面をもたらしたものと推察されます。

 

実際のところ、トランプラリー無かりせば、本来、本格的な円高がもっと早期に進行していたものと思われます。アベノミクスによって125円86銭までドルが上昇した後は、ヘッド・アンド・ショルダー・トップ(S-H-S TOP)が完成し、本格的な円高トレンドが示唆されておりましたが、トランプラリーによって一旦ご破算となりました。
ただし、トランプラリーによってトレンドの大逆転が実現したかというと、そうではありません。

 

年足のチャート(4頁)が直近で三年連続陰線となったことからも明らかなように、トランプラリーがドル円相場に与えた影響は、本格的なドル上昇トレンドへの大転換ではなく、単に、円高の先延ばしということで、テクニカル分析上は総括されるかと思われます。

 

通常、こうした異例な値動きが出現した場合、次の展開をタイミングも含めて正確に予測することは難易度が高い訳でありますが、以下、テクニカル分析の見地から最も可能性の高いシナリオを検証して参りましょう。

 

2.長期の分析から、ドル買いシグナルは腰砕け

それでは年足のチャート(4頁)から現在の状況を検証して参ります。アベノミクスによって、2012年から2014年まで三年連続で陽線となりましたが、その後、2015年以降は三年連続で今度は陰線となり、上値も年々切り下がるという展開になりました。

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本来、戦後初めてのゴールデンクロスを伴ってのドル上昇トレンドを形成していたので、もう一段の力強いドル上昇が継続する可能性もあったように思われますが、直近の三年間は120円台の上値の重さばかりが目立つ展開となり、ゴールデンクロスそのものも腰砕けの様相を呈しております。

 

また、オシレーターに注目すると依然として50の突破を果たせていない事から、アベノミクスをもってしても結果的にドル買いシグナルに点火出来ておりません。つまり、移動平均線ではゴールデンクロスを形成したものの、オシレーターでは戦後のトレンドを転換するには至らなかったことから、アベノミクス以降のドル買いシグナルは不完全で脆弱なまま終わろうとしております。こうしたことは、ニクソンショック以降の長年の円高トレンドが、如何に強固で根深いかを示唆しているものと思われます。

 

以上の点から、年足のチャートが示唆するのは125円86銭のトライは遥かにほど遠く、また実質的には118円66銭のトライすら相当に困難なのが実態かと思われます。さらに、年足の20年移動平均線は現在106円97銭に位置しておりますが、今年の大晦日の終値がこれを下回った時点で、アベノミクス以降のドル上昇トレンドは完結したコンファメーションとなります。

 

次に、月足のチャート(6頁)でありますが、前回号(2017年11月7日号)でも指摘したように、過去三十年の歴史の中で極めてユニークな形状をしております。すなわち、過去三十年間の月足のチャート(6頁)でデッドクロスは、赤丸で囲った通り過去四回あり、今回で五回目となりますが、過去の四回と今回では著しくその形状が異なっていることが分かります。

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つまり、青の矢印で示した通り、今回のみ20ヶ月移動平均線を明確に切り返しており、また、今回のみオシレーターも50を明確に突破して、いずれもドル買いシグナルへと転じております。これはトランプラリーが月足のドル売りシグナルを完全に破壊したことを意味します。

 

しかしながら、足元の状況は、先月の1月末の終値ベースで20ヶ月移動平均線を下回り、また、オシレーターも50を割り込んだことからドル売りシグナルへと転じております。つまり、トランプラリーは本格的なドル上昇トレンドをもたらしたのではなく、一過性であった可能性が濃厚となっており、早晩、本格的な円高が進行し始める可能性も出て来ております。

 

3.短期的には107円台前半を巡る攻防戦へ

次に、週足のチャート(7頁)でありますが、トランプラリーは、嘗てのヘッド・アンド・ショルダー・トップ(S-H-S TOP)のネックラインが位置していた118円台でブロックされて、その後は107円32銭まで跳ね返されております。そして、107円32銭 ~ 114円73銭のレンジ内での調整局面が長期化したことから、現在では明確なトレンドを喪失しております。

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ただし、ヘッド・アンド・ショルダー・トップ(S-H-S TOP)のネックラインでブロックされて、さらに現在では118円66銭のトライにすら向かえないまま一年以上が経過したということは、全体としての評価は上値の重さが確認されたということ。すなわち、ヘッド・アンド・ショルダー・トップ(S-H-S TOP)のドル売りシグナルは依然として健在であるという証左かと思われます。
最後に、日足のチャート(8頁)でありますが、昨年9月のドル下落局面で、嘗てのダブルボトムのネックラインが位置していた107円50銭を一時的に割り込んだものの、僅か一日限りの一過性の動きに終わって、その後は大幅にドルが上昇しております。

 

結果的に、前述の20年移動平均線が位置する106円97銭から107円50銭に掛けて、強いサポートが存在することを証明した形になりました。
つまり、ドル上昇トレンドの最終防衛ラインは106円97銭に位置しておりますが、現状では107円台前半で粘り強く踏ん張っているということも事実であります。そもそもトランプ氏の大統領選挙結果が判明した当日の発射台は105円台でありましたが、流石にあっさりと全戻しは出来ないでいるのは、トランプラリーが月足のドル売りシグナルを完璧に破壊したことによる後遺症の様なものかと思われます。
したがって、次回の円高局面でも107円台前半は強いサポートとして意識されることになりますが、仮にこれを明確に割り込んだ場合、その後の展開として有力なのは、一気に100円割れに向かう怒涛の円高というよりは、何度もリバウンドを繰り返しながら徐々に上値が切り下がるという緩慢な円高。つまり、107円32銭 ~ 114円73銭のレンジから100円 ~ 107円にシフトダウンするという、ボックス相場そのものの切り下げというシナリオの方が、可能性がより高いように思われます。

 

以上を総合的に考慮すると、最も可能性が高いシナリオとして考えられるのは、当面は107円32銭 ~ 114円73銭での調整局面が継続する可能性はあるものの、早晩、100円 ~ 107円にレンジが切り下がるという展開かと思われます。
なお、最終防衛ラインである106円97銭を割り込んだ後、一時的に円高が加速して100円割れを目指す可能性もありますが、仮にそうした展開になった場合であっても、前述のように107円というのは複数の重要な節目が集中している特別な水準なので、90円台のような本格的な円高に転じる前に、再び107円近辺までプルバックして上値の重さを確認する、所謂、107円で戻り高値を形成する局面が訪れる可能性は非常に高いと予想されます。

 

4.まとめ

私見によれば、ドル円相場は引き続き向こう数か月間、107円32銭 ~ 114円73銭のレンジ内でのボックス相場が継続する可能性はあるものの、6割程度の確率で向こう半年以内に100円 ~ 107円のレンジにシフトダウンすると予想します。また、その場合、一気に二桁の円高に突入する可能性は低く、緩やかに上値が切り下がるパターンになると予想され、100円 ~ 107円のレンジ内での調整局面がかなり長期化して、このレンジ内を何往復もする可能性もあります。

 

なお、120円を目指すような本格的な円安の可能性は2割以下のテールリスクと予想しますが、118円66銭を突破するケースでは、前述の円高シナリオは一旦全て破棄されます。
                                    以上

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