まずは、こちらのグラフを見ていただきましょう。(URLをクリック)
これは、米国東部アイビーリーグ8大学の各エンダウメント運用資産の資産配分です。ゼロ%を基準として各資産がどの程度のパフォーマンスを計上したか、資産配分ごとに表したものです。
ゼロ以上はプラスリターンで、ゼロ以下はマイナスリターンとなります。
実は、エンダウメントにとって2016年度(2015年7月~2016年6月)は厳しい運用期間となり、この8校のうちプラスリターンで終わったのは、イェール大学(+3.4%)とプリンストン大学(+0.8%)だけでした。
アイビーリーグを除く、全米のエンダウメント全体の平均パフォーマンスは+2.7%であり、同時期のS&P500指数は+3.25%でしたので、エンダウメントは平均的な米国株のパフォーマンスに劣後したことになります。
その中でもイェール大学のパフォーマンスは過去10年平均の約8%年平均リターンには劣るものの、アイビーリーグの中ではトップ・パフォーマンスとなりました。
その理由ですが、イェール大学のエンダウメントは他のエンダウメントと異なる点があります。
(1)イェール大学の資産不動産と未公開株に多くが配分され、プラスリターンの多くがそれら2資産からもたらされている。
(2)イェール大学はマネジャー・セレクション(グラフではSelection)でもプラスリターンを得ている。
特に(2)のリターンの源泉は外部運用者に委託した部分からの超過リターンであり、ハーバード大学のように総資産の約4割を自己運用する手法とは異なっています。外部運用をすることで、よりよい運用会社を選択できる可能性も追求しているわけですね。
エンダウメントの運用手法は一般個人投資家がまねをできるものではありませんが、参考になるとすれば、投資手法や銘柄をコロコロ変えることなく、ご自身が選んだ投資アイデアや投資対象を、我慢強く保有するということなのかもしれません。