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エンダウメント投資戦略

世界最先端の投資戦略について解説します!

チーフFXストラテジスト 岩重竜宏の「テクニカル分析による長期為替予想」 9月26日号

2017年 3月末 94円63銭

2017年 9月末 85円25銭

 

1. はじめに

 

通常、株や債券などの伝統資産は経済を映す鏡としての側面を持ち合わせており、政策判断の重要な指標として活用されますが、先週水曜日(9月21日)の日銀政策決定会合の発表を受けて、日本で は事実上、株のみならず債券も官製相場へと移行しました。

 

つまり、株は各々の企業業績とは無関係に一定水準以上が維持され、また、債券のイールドカーブ は完全に管理下に置かれる事となり、中でも10年債に至ってはゼロ%でのペッグ制となりました。 こうした中、直接的に政府の干渉を受けないのは為替相場のみとなったので、今後は経済を映し出す鏡としての役割を為替が一身に担うことになりますが、先週木曜日(9月22日)の政府からのコメ ントは非常に示唆に富む、象徴的な内容でありました。

 

すなわち、水曜日のドル円のレンジは高々、2円50銭程度の値幅しかなく、しかも円安円高のど ちらか一方向に極端に動いた訳でもないにも拘らず、祝祭日に緊急会合まで開いた上で政府から出て 来たコメントは「為替を憂慮する」「投機には必要な対応を取る」でありました。

 

つまり、政府としては、米国の手前、コントロール下に唯一置けない為替相場が心配で仕方ない、全ての相場を管理下に置かなければ気が済まないのでは、と見透かされるほどのナイーブさです。もしかしたら、政府ご自身が90円台半ばに迫るような猛烈な円高が起こると予測しておられたのかも知れません。要するに、政府ご自身が為替のみ、制御不能と認識しておられる訳です。

 

この点に関する筆者個人の見解としては、為替だけでも管理を免れたのは日本にとって幸いであっ た、であります。つまり、現在、政府が実施していることは、「歪みを溜め込む」ことに他なりませ ん。株の下落や長期金利の上昇下降は、一時的な痛みは伴っても長期的に見れば、「合理的な資源の 配分を促進する」であった筈です。将来、歪みが解消される局面を多少なりともモデレートにする上 で、為替だけでもフリーな状態を維持できたことは幸いです。

 

伝統資産の自由な価格形成は「神の見えざる手」そのものでありますが、そうしたメカニズムを放 棄するという壮大な歴史的実験が、本当に、当局が描くような良い結果に繋がるのかは大いに疑問が あります。

 

今後、為替相場はガス抜きとしての役割を大いに期待されることになるかと思われます。そうした 値動きすら、当局の目には投機として映るのかも知れませんが、為替相場が唯一の鏡となった以上、 そのような短絡的な評価に留まるのではなく、冷静にメッセージを理解する必要があるのではないでしょうか。つまり、為替のみ先行して歪みが解消されて行く訳です。

 

そこで、テクニカル分析の知見から得られる結論は、ズバリ75円へ向けた円高です。

 

以下、テクニカル分析の視点から検証して参りましょう。

 

 

2.向こう二年間で75円に全戻し

 

前回号(6月6日号および6月27日号)で指摘したのは、以下の点でした。 すなわち、アベノミクスによってもたらされた円安トレンドは125円86銭をもって既に完結し たということ。そして、アベノミクスによって三年間のドル上昇トレンドを形成されたということを 踏まえると、振り出しの75円に戻るのも三年は掛かるということ。さらに、125円86銭を付け てから既に一年以上が経過しているので、あと二年以内に75円に到達しても不自然ではない、ということでした。

 

つまり、75円から125円まで円安に振れて、現在100円まで戻ってきたものの、依然として 道半ばに過ぎず、向こう二年間で75円へ向けた全戻しは充分に視野に入っているという事でした。 まず、年足のチャート(4頁)から検証しますが、アベノミクスによって2014年に戦後初めて 20年移動平均線とのゴールデンクロスを完成しましたが、年初からの円高によって再びデッドクロ スしており、超長期のドル買いシグナルは僅か二年間で完結しております。

 

さらに、ドルの高値が1 25円までで天井をつけたことからRSIでは50の突破すら果たせておらず、アベノミクスによって もたらされたドル買いシグナルは不完全なもののまま完結しております。年足ベースでいうと、今後の注目点としては、今年の大晦日の終値が20年移動平均線の位置する107円07銭よりも上か、下になるかが非常に重要です。すなわち、今年の大晦日の終値が、10 7円07銭を大幅に下回った場合、年足ベースでもドル売りシグナルが確定するので、いよいよ数年 後の超円高を本格的に覚悟する必要が出て来ます。

 

つまり、75円までで円高が完結する保証は何処にもなく、実際には、75円をも割り込む超円高も年単位で考えれば、絵空事などとは言えないという事です。米国ではインフレが進み、日本ではデ フレが止まらないとなれば、超長期でみれば整合的な話です。

 

次に月足のチャート(6頁)でありますが、完璧なドル売りシグナルとして完成しております。す なわち、115円36銭に位置する20ヶ月移動平均線は下降しており、また、RSIも50を割り込 んで定着しているので、双方のインディケーターから読み取れるのは長期的なドル売りシグナルであ ります。 そして、週足のチャートでありますが、これもまた完璧なドル売りシグナルを形成しております。

 

すなわち、マイナス金利導入の翌週にはヘッド・アンド・ショルダー(S-H-S TOP)を完成しており ますが、既にメジャーリング・オブジェクティブであった106円50銭は到達しており、小刻みな 3 コレクションとしてのドル上昇局面はあったものの、本格的なドル反発局面に転じる兆候は今のとこ ろ見当たりません。さらに、足元ではディセンディング・トライアングルを形成している可能性もあり、一段の円高の兆候と捉えることも可能です。

 

さらに、4頁の年足から8頁の日足まで全てのチャートで共通しているのは、移動平均線とオシレ ーターが全て揃い踏みでドル売りシグナルを発動しているということであります。すなわち、ほぼ全 てのテクニカル・インディケーターがドル安円高を示唆しており、以上を総合的に判断すると、現在 は、極めて順調な円高トレンドの中盤に差し掛かっていると考えられます。

 

 

3.一年以内に85円25銭へ

 

まず、当面のターゲットとして最も有力なのは、75円32銭~125円86銭の61.8%戻し にあたる94円63銭であり、向こう半年以内には到達すると予想されます。

 

それでは、75円32銭への全戻しの過程で、一番強いサポートは何処かというと、それは84円 であります。まず、2009年11月の安値が84円82銭(6頁参照)であり、当時、75円へ向 けた円高トレンドはこの84円を突破するところから始まりました。さらに、2012年3月の高値 が84円17銭(6頁参照)でありますが、アベノミクス以降の大幅な円安もこの84円をしっかり と突破するところから始まった訳であります。

 

次回の円高でも84円を突破するのは一筋縄ではいかない可能性が高く、75円32銭の手前とい う意味では最強のサポートと言えるかと思われます。 さらに、その手前で有力なサポートは85円25銭です。Brexit以降の足元のレンジは99円から 107円50銭ですが、この値幅である8円50銭をフィボナッチ1.618倍した13円75銭を99 円から引くと85円25銭となります。

 

これは84円の手前でもあることから、一年後のターゲット としては有力なポイントと考えられます。

 

 

4.まとめ

 

私見によれば、ドル円相場は小幅なコレクションとしての円安局面を伴いつつも、向こう半年以内 に(恐らくは年内にも)94円63銭に到達し、さらに、一年後には85円25銭に到達するという 円高シナリオを8割程度の確率で支持します。 なお、現在、20ヶ月移動平均線は115円36銭に位置しておりますが、コレクションとしての円安局面が一時的なものに止まらず、115円36銭をも突破する場合には、前述のシナリオは全て 破棄されます。                        以上

 

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