米国においては産学連携による研究開発は日常的に行われていますが、医薬の分野も例外ではありません。
本日取り上げる事例は、ノースウエスタン大学の事例です。同大学は米医薬品大手のファイザーと抗神経痛薬(Lyrica 日本名:リリカ)を共同開発し、現在までに約1400億円ものロイヤルティを受け取っています。
このリリカは現在までに約1兆円の売上を上げて、ファイザーの売上高に大きく貢献しています。
ファイザーと同大学の事例は特別なものではありません。各大学とも研究資金を得るためにロイヤリティ収入を確保する事例は増えてきているとともに、製薬会社も初期段階の研究開発に大学での研究成果に大きな期待を寄せてきています。
例えば、プリンストン大学はイーライリリー社から抗がん剤の製品化で約500億円のロイヤリティを得ています。
こうした事例は、エンダウメントが投資先として製薬会社を選ぶというよりも、共同研究開発を通して、結果的に報酬を得ているかたちです。
ただし、将来性が豊かなスタートアップ企業や未公開企業に投資するのも、新薬の開発に携わって製品化後ロイヤリティ(≒配当)を得るのも、長期投資という観点では似通っています。
エンダウメントの多様性を物語る事例ですね。