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(号外)英国EU離脱 ~為替相場への影響をテクニカル分析で読み解く~ 

当レポートでは、英国のEU離脱為替相場へ与える影響をテクニカル分析の視点から解説します。

株式会社GCIアセット・マネジメント チーフFXストラテジスト 岩重竜宏

 

2016年 12月末: 94円63銭
2017年 6月末  :87円96銭

 

1.はじめに


日銀のマイナス金利導入に続く、今年二度目のテールリスク・イベントが現実のものとなりました。当レポートでは、英国のEU離脱ドル円相場に与える影響をテクニカル分析の視点から解説いたしますが、その前に、通貨市場における今回の出来事を以下のように整理したいと思います。


今後、最も懸念されるのはEUドミノによるEUそのものの崩壊でありますが、仮にEUが崩壊するとして、それがEUR自体の暴落を招くかという点でありますが、答えは「否」と考えられます。


すなわち、6月24日の相場展開でも明らかになったように、先進国通貨で最も暴落したのは、離脱した当事国のポンドでありますが、EURはというと、対ドルで大きくは売られてはおりません。


EU崩壊が意味するところは、究極的には、「EURのドイツマルク化」であります。つまり、EUドミノによって次々と離脱が連鎖した場合、最終的に残るのはドイツマルクそのものであります。したがって、6月24日の現象は一義的には、昔で言うところのマルク/クロスすなわちEUR/クロス内部の混乱と位置づけるのが適切かと思われます。


実際、6月24日の時点でEUR/GBPEUR高ポンド安となり、離脱国のポンドは対EURで暴落となりました。今回は英国が通貨統合には参加していなかったので、比較的分かり易い値動きとなりましたが、次回以降、既に通貨統合に参加している国が離脱を決定した場合は、より複雑となります。


つまり、離脱決定の時点では離脱国の通貨はEURに内包されており、明示的には存在していない為、暴落すべき通貨のヘッジ手段が存在しないことになります。こうした局面で想定されるのは、代替手段としてのヘッジ売りによる離脱国自身の株債券など伝統資産の暴落ということになりますが、これ自体がグローバルにはリスク回避を誘発することになるので、結果的に通貨市場で最も起こり得るシナリオはユーロの暴落ではなく、経常黒字国である円とスイスの独歩高であります。


さて、ドル円相場についてでありますが、今回の英国EU離脱がもたらしたものは前述のようにリスク回避を誘発し易い環境ということなので、FRBの利上げペースにも悪影響を与えることになります。そして、日銀の金融緩和でありますが、昨年の黒田総裁の実質実行レート発言以降、黒田バズーカはビハインド・ザ・カーブとなったことで、既に黒田バズーカの神通力は失われており、今後ヘリコプターマネー実施の有無に拘らず、円安方向への影響は極めて限定的と考えられます。


以上、現状の整理を踏まえた上で、テクニカル分析の視点から今後のドル円相場の見通しを解説いたします。

 

2.極めて強いドル売りシグナルが発動

 

三週間前の前回号(6月6日号)で指摘したのは、以下の点でした。

すなわち、アベノミクスによってもたらされた円安トレンドは125円86銭をもって既に完結したということ。そして、アベノミクスによって三年間のドル上昇トレンドを形成されたということを踏まえると、振り出しの75円に戻るのも三年は掛かるということ。さらに、125円86銭を付けてから既に一年が経過しているので、あと二年で75円に到達しても不自然ではない、ということでした。


そして、当面のターゲットは75円32銭と125円86銭の半値戻しにあたる100円59銭であると指摘しましたが、今回の英国EU離脱を受けてこのターゲットは既に達成しております。

 

週足のチャート(7頁)を参照すると、2014年2月の安値が100円75でありますが、100円台後半というのは2014年2月~8月に掛けて約半年間もサポートとして作用していたポイントであります。つまり、100円59銭~100円80銭近辺には複数のサポートが集中していたことから、それなりに強いサポートであったかと思われます。

 

ところが、今回の英国EU離脱を受けていとも簡単にこれを割り込んで99円にまで到達したということは、いかに今回の円高圧力が凄まじかったかを端的に示すものであります。

 

さらに、4頁の年足から8頁の日足まで全てのチャートで共通しているのは、移動平均線とオシレーターが全て揃い踏みでドル売りシグナルを発動しているということであります。

 

すなわち、ほぼ全てのテクニカル・インディケーターがドル安円高を示唆しており、実際、100円割れも凄まじい勢いで完遂されたことを考慮すると、現在は一段の円高トレンドの真っ只中に位置していると解釈するのが妥当と思われます。

 

3.半年以内に61.8%戻しの94円63銭へ

 

それでは、値幅のターゲットでありますが、75円32銭への全戻しの手前で、一発では突破出来そうにない強いサポートは何処かというと、それは84円であります。
まず、2009年11月の安値が84円82銭(6頁参照)であり、当時、75円へ向けた円高トレンドはこの84円をしっかりと割り込むところから始まりました。

 

さらに、2012年3月の高値が84円17銭(6頁参照)でありますが、アベノミクス以降の大幅な円安もこの84円をしっかりと突破するところから始まった訳であります。

 

次回の円高でも84円をしっかりと割り込むのは一筋縄ではいかない可能性が高く、75円32銭の手前という意味では最強のサポートと言えるかと思われます。
さらに、その手前で有力なサポートは87円かと思われます。まず、2009年1月の安値が87円10銭(6頁参照)であり、さらに75円32銭と125円86銭の75%戻しが87円96銭に位置しており、一年後のターゲットとしては有力なポイントとなっております。

 

そして、当面のターゲットとして最も有力なのは、75円32銭~125円86銭の61.8%戻しにあたる94円63銭であり、向こう半年以内には到達すると予想されます。

 

4.まとめ

 

私見によれば、ドル円相場は小幅なコレクションとしての円安局面を伴いつつも、向こう半年以内に94円63銭に到達し、さらに、一年後には87円96銭に到達するという円高シナリオを8割程度の確率で支持します。

 

なお、現在、20ヶ月移動平均線は117円81銭に位置しておりますが、コレクションとしての円安局面が一時的なものに止まらず、117円81銭をも突破する場合には、前述のシナリオは全て破棄されます。

                                     以上

 

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