エンダウメント投資戦略

世界最先端の投資戦略について解説します!

ハンプシャー大学エンダウメントのESG投資への取り組み

ハンプシャー大学はマサチューセッツ州にある小規模な私立大学です。学生数は1500名、エンダウメントの資産も40百万ドルと、とてもアイビーリーグのエンダウメントには及びません。

 

しかしながら、同大学は1970年代に全米の大学では初めてSRI投資(社会的責任投資)を宣言した大学の一つであり、先進的な投資哲学を持ったエンダウメントでもあります。

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その後、2011年にはESG投資(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))を採択し、全米大学エンダウメントの中で初めて化石燃料関連企業への投資をやめたことでも知られています。

 

ここ数年、米国大学のエンダウメントの運用成績はあまりふるっていないのですが、ハンプシャー大学エンダウメントの運用成績は、こうした脱化石燃料関連企業投資が奏功し、ベンチマークよりもよい運用成果となっています。例えば、直近5年間のエンダウメント全体のパフォーマンスは年5.4%でしたが、同エンダウメントは年6.4%と1パーセントポイント上回っています。

 

ハンプシャー大学エンダウメント 投資対象資産内訳>

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結果的にパフォーマンスが向上するのはよいことですが、なによりも同エンダウメントの運用哲学が徹底しているのが、その強みでもあります。株式、債券、ヘッジファンド、その他代替投資など、あらゆる資産クラスに運用する際にはエンダウメントの投資哲学の一貫性や風評を害することなく運用を継続していくこと、と同エンダウメントのDick Hurd氏は述べています。脱化石燃料投資はその一環というわけです。

 

(参照記事:http://www.alternet.org/environment/first-american-college-divest-fossil-fuels-has-outperformed-average-investment-return

 

 

小規模エンダウメントにはETF分散投資が有効?

CAIAのアナリストとマサチューセッツ大学の教授が興味深い研究結果を発表しています。

結論から申し上げますと、小規模エンダウメントにはオルタナティブ投資は必要ではなく、むしろETFで複数の資産に分散投資したほうが有効であるとのことです。

 

オルタナティブ投資のファンド・マネジャーにとっては耳の痛い話ですが、論点は以下の通りです。

 

(1)エンダウメントのパフォーマンスは運用費用控除後で表記されるものの、非流動性資産を運用する運用スタッフの人件費などは調整されていない。

 

(2)多くの小規模エンダウメントは、ハーバード大学エンダウメントの運用ポートフォリオをコピーする事例が多いものの、結局米国株への投資割合がかなり高い事例が多々ある。

 

(3)エンダウメントの基本投資割合は多くの場合変わることがないため、一旦マイナスのパフォーマンスに陥ると、複利的にマイナス幅が広がる可能性もある。

 

こうした状況に対しての解決策は、

 

(4)低コストETFを組み合わせ、効率的なパフォーマンスをめざす。(下図)

 

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(5)オルタナティブ投資を否定するわけではないが、そのエンダウメントの運用資産規模、高いファンド・マネジャーの選択能力、運用スタッフの拡充が必要である。

 

アクティブ運用かパッシブ運用かの論争は決着を見ていませんが、ここでもオルタナティブ投資を導入するか否かの議論がにぎやかです。要するに、他のエンダウメントをまねするのではなく、身の丈に合った運用戦略を持つべし、というのが彼らの意見なのでしょう。

 

(参照文献:https://www.ai-cio.com/news/multi-asset-etf-portfolio-best-route-smaller-endowments-isenberg-professor-says/

米国エンダウメント:運用資産規模別の資産配分

資産規模が数兆円にも及ぶハーバード大学やイェール大学などの米国エンダウメントは、オルタナティブ投資に積極的に運用することが知られています。

 

しかしながら、資産規模の違いや国公立/私学によって資産配分は異なっており、そうしたアロケーションの違いが、長期的なパフォーマンスの差異につながっていると思われます。

 

本日はそのデータをグラフ化してみましたので、ご参考にしてください。データは昨年度基準(2016年6月末)となります。

 

1.運用資産規模別の資産配分

 

エンダウメントの資産規模が大きくなればなるほど、オルタナティブ投資への配分が多くなります。逆に資産規模が小さくなればなるほど、株式・債券といった伝統的資産や現金に配分を増やしています。

 

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1.運営主体別(国公立/私立)の資産配分

 

私学のエンダウメント全体ではオルタナティブ投資への配分が5割以上で、国公立は5割以下となっています。伝統的資産ではこれが逆となります。

 

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概して、私立はオルタナティブ投資に積極的に運用し、国公立は伝統的資産に注力しているといっていいでしょう。運用資産が巨大な私学エンダウメントはオルタナティブ投資を超過収益の源泉と捉えていることが分かります。

 

(参照データ:NACUBO(全米大学実務者協会) http://www.nacubo.org/Documents/EndowmentFiles/2016-NCSE-Public-Tables_Asset-Allocations.pdf

GCIエンダウメントファンド(成長型/安定型)の月次報告書(6月末基準)をアップデートしました。

6月末基準の月次報告書をお届します。先月のハイライトは次の通りです。
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http://www.gci.jp/files/fund/fund_18_4.pdf

 

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<今月を振り返って>

6月の主要先進国株式市場はいずれも堅調に推移し、平穏な市場環境が持続しているように見えますが、月末にかけて複数の中央銀行関係者からタカ派(金融引き締め方向への政策バイアス)的な発言が相次いだことを契機に、市場間の相関関係に顕著な変化が現れました。

 

この結果、GCIエンダウメント・ファンドは、成長型▲1.39%、安定型▲1.46%と、株式・債券などの伝統資産が安定し、為替がドル堅調に推移している中で、比較的大きなドローダウンとなりました。(中略)

 

当戦略設定来、リスク低減に寄与してきたオルタナティブ戦略と為替ヘッジがマイナスとなったことが主因です。(以降は本レポートでご覧ください)
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なお、一部の販売会社様におきましては、今月に入りましても多くのお申し込みをいただいております。

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では、今月もよろしくお願い申し上げます。

テクニカル分析による為替長期予想(2017年6月末基準)

GCIアセット・マネジメントのチーフFXストラテジスト・岩重竜宏による長期為替予想をお届けいたします。

 

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2017年 12月末    1ドル=117円

2018年   6月末    1ドル=110円

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1.はじめに

 

トランプラリーによって昨年のドル円相場は、年足ベースで下髭が長いという極めて珍しいパター ンを形成しましたが、陽線になるまでには至らず陰線で終わったこと、及び、オシレーターも50を 突破できていないことを根拠に、ドル買いシグナルとしては脆弱であり、当面は107円50銭 ~ 115円51銭のレンジ内での調整局面が長期化すると前回号(2017年4月10日号)で指摘しました。

 

実際、その後の三か月間のレンジは108円13銭 ~ 114円37銭となったことで、ここまで は予想通りの展開となっております。ただし、足元の状況は上値を窺う展開となっており、短期的に は前述のレンジの上限を突破する可能性もありそうです。それでは、テクニカル分析の見地から最も 可能性の高い今後のシナリオを検証して参りましょう。

 

2.長期の分析からは、脆弱なドル買いシグナル

 

まず、年足のチャート(4頁)から現在の状況を検証して参ります。 年足のチャートから読み取れることは、ダウ理論上は147円64銭を突破しない限り、 戦後の円高トレンドは継続するという事。

 

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ただし、アベノミクス以降、初めて20年移動平均線とゴ ールデンクロスしたことから上値トライに向かっております。しかしながら、オシレーターは現在4 5に位置しており、依然として50の突破を果たせていないことからドル買いシグナルとはなってお らず、また、丁度一年前には一時的ではあるものの100円を割り込んだことで20年移動平均線 (現在は107円20銭)よりも上での定着も果たせておりません。

 

以上のことから、年足のチャートが示唆するのは脆弱なドル買いシグナルという事になり、10年 後といった超長期の見通しとしては再び70円台の円高に向かう可能性が高いという事かと思われま す。ただし、アベノミクス以降のドルの高値である125円86銭を更新する場合には状況が一変す ることになります。すなわち、147円64銭を目指す一段のドル買いシグナルが発動されることに なります。

 

次に四半期足のチャートでありますが、こちらは赤丸で示した通り、戦後三回目のゴール デンクロスを形成しており、またオシレーターも辛うじて50よりも上をキープしていることから、 ドル買いシグナルを維持しております。

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ただし、過去二回は、二番天井が一番天井の突破に失敗しております。一回目はレーガノミクスの 高値である277円65銭を突破できないままプラザ合意を迎えており、その後は10年間でドルの 価値は三分の一になりました。また、二回目は147円64銭を突破できず135円20銭で黒田天井を形成して、その10年後には75円台への超円高となりました。

 

今回は三度目のトライとなりますが、125円86銭の突破に失敗すると同様に10年後には70 円割れに向かう蓋然性が高いという事かと思われます。何となれば、テクニカル分析の根幹の哲学は 「歴史は繰り返す」であります。 さて、次に月足のチャートでありますが、過去三十年の歴史の中で、現在は極めてユニー クな形状をしております。

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すなわち、過去三十年間の月足のチャートでデッドクロスは、赤丸で囲った通り過去四回 あり、今回で五回目となりますが、過去の四回と今回では著しくその形状が異なっていることが分か ります。 つまり、青の矢印で示した通り、今回のみ20ヶ月移動平均線を明確に切り返しており、また、今 回のみオシレーターも50を明確に突破して、いずれもドル買いシグナルへと転じております。

 

これ はまさにトランプラリーの破壊力であり、私どもアナリストにとっては過去の経験則が当てはまらな い驚愕のテールイベントでありました。 さは然りながら、このドル買いシグナルが強いかというと、冷静に分析すると脆弱であるという事 は歴然としております。すなわち、20ヶ月移動平均線は下降を継続しており、グランビルの法則に 抵触するという事です。

 

現在、20ヶ月移動平均線は110円78銭に位置しておりますが、過去半年間、この20ヶ月移 動平均線を明確に上放れするには至らず、纏わり付くようにして押し下げられているのが何よりの証 左となります。 ただし、足元の状況としては、今月に入ってから上放れに向かう兆候も出て来ており、今後数か月 の趨勢次第では125円86銭を目指す可能性もゼロとは言い切れません。しかしながら、そもそも 今回のパターンが過去三十年の中で特異な現象という点を考慮すると、125円86銭の突破は統計 学上かなり稀なケースとなります。

 

したがって、通常、私どもアナリストは125円86銭の突破をメインシナリオに据えるような事 は致しません。ただ、もしこれが実現するようであれば、「故に、歴史的な大転換」とも言えるかも 知れません。

 

3.短期的には上値トライを示唆

 

以上のように、年足から月足までの長期の分析ではドル買いシグナルは脆弱であるという事が結論 であります。ところが、これが週足と日足の短期の分析となると状況は一変します。 まず、週足のチャートは、トランプラリーで嘗てのヘッド・アンド・ショルダー・トップ (S-H-S TOP)のネックラインが位置していた118円台でブロックされて、一旦は108円13銭 まで跳ね返されておりますが、足元は再びドル買いシグナルとなっており、ネックラインの明確な切 り返しを再度窺う展開が予想されます。

 

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一方、日足のチャートは、今年に入ってからのドル下落局面で、嘗てのダブルボトムのネ ックラインが位置していた107円50銭をホールドして、足元はドル買いシグナルとなっており、 満を持しての上値トライとなっております。

 

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しかしながら、上値トライが容易かというと決してそうではありません。週足のチャートに見られ るような(S-H-S TOP)のネックラインの延長線上は、その後に渡っても強いレジスタンスとして作 用し続ける傾向があります。 また、これを突破しても120円 ~ 121円69銭(マイナス金利導入直後の高値)に掛けても レジスタンスが存在しており、125円86銭を実際にトライするまでには幾多の困難が待ち構えて おります。

 

したがって、最も可能性が高いシナリオとして考えられるのは、118円66銭の突破に一時的に 成功しても120円台での滞空時間は極めて短いというパターンかと思われます。そして、その後は 20ヶ月移動平均線が位置する110円台に向けて緩やかに下落する可能性が高く、達観して言うな らば、結果的にほとんどの期間は108円13銭 ~ 118円66銭のレンジ内で費やされて、レン ジの外に留まるのは極めて短期間という事かと思われます。

 

4.まとめ

 

私見によれば、ドル円相場は5割程度の確率で向こう半年以上も108円13銭 ~ 118円66 銭を中心とするレンジ内でのボックス相場になると予想します。また、118円66銭を本格的に突 破するような円安進行の可能性も3割程度は想定されますが、この場合でも120円に滞空するのは 一時的で極めて短期間と予想されます。

 

一方で、108円13銭を突破するような円高の可能性も2 割程度は想定されますが、今年度中に100円を割り込む可能性は極めて低いテールリスクと考えら れます。

 

以上

 

<ディスクレーマー

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